社会が僕に向いてない

ままならんよね

復職再挑戦に寄せて

 雨の日には、心身二元論が頭をもたげる。

 インテリジェントデザインがもっともらしく見えるのは人類のインテリジェンスの積み重ねによるものだと理解しているし、実業家の本が売れるのは僕たちが望んで搾取される側に回っているからだということにも薄々気がついている。それでも、低気圧が僕の体を拡げるとき、雨のことは好きなんだけどな、と思うのは、心のせいだと感じてしまう。そうやって論理的な思考と感情が対立するのも、やっぱり心のせいに違いなかった。6月は雨の季節で、去年も復職を試みた季節だった。人間になじめない僕を自分のどこかで許せるように、心身が乖離する時分を選んだのかもしれない。

 ミニマリストだね、と言われるたびに顔を伏せてしまう。僕がユニクロで同じ型の黒いシャツを5枚買って着まわしているのは、決してミニマルであろうとしているのではなく、シンプルであればいいのにという子供のような幻想を捨てきれずにいるからだった。変わり者に流行りの言葉をあてはめて、なんとか理解しようとしてくれているけれど、最近黒いワンピースを買ったのは社会への歩み寄りであるということに、だから、彼らが気付くはずもなかった。彼らは同様に、多様性を尊重しなければならないと叫ぶ。でも、僕らが求めるのは歩み寄りではなく攻撃を受けないことで、身を守るために少しだけ社会に身を寄せるのだけれど、おそらくそれが彼らと同じように生活したいと思っているように見えるのだろう。あなたのことを理解します、と言いながら近寄ってくる彼らは、拳銃を持った狂人にしか見えなかった。

 

 復職を明日に控えて、そんなことを、改めて考えていました。どうか、平和に暮らせますように。